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中学生の頃
毎日下校時間にはパッヘルベルのカノンが流れていた
私は音楽に詳しくなかった
カノンという曲だと卒業してから知った
今改めて聞くと、音楽が流れていたあの当時にそこにいた、先輩、後輩、先生たち、友達を思い出す
この音楽がなる時には、あんまり校舎内に生徒は残っていなくて、
先生に追い立てられるパタパタという足音、高く明るい声、ガラガラと閉まるドアの音がどこかでしていて
制服のスカーフを熱心に直す茶髪の女の子とか、
西日で端から端までオレンジ色が眩しい廊下とか、
道具を片付ける野球部の男子とか、
教室に残っていた知らない人とか、
そういうものが見えた気がする
その時はそれが世界だった
私はその曲が流れている間だけの、そういう廊下や下駄箱や教室が好きだった
初めにはゆったり柔らかな音だったバイオリンが、
だんだんと尖って、耳が痛いほど強い音になっていくのを感じるのが好きだったし、
部活を辞めてからも、何か理由をつけて残っていたこともあったかな
今あの時の先生に会ったら、何て言われるかな
私のことなんて覚えていないかな
もうあの土地から離れた所に来たから、どうでも良いこと
先生たちにとっては、どんな20年でしたか?